顧客と営業パーソンの関係構築

同じ目標に向かうパートナーだと考えよう

多くの営業パーソンを指導していますが、営業経験者の中で多いのが「営業パーソンは下手に出ればいい」「ご機嫌をとれば買ってもらえる」などと刷り込まれている人です。その結果、顧客と対等の立場で話すのに時間がかかってしまい御用聞き的な話し方から脱却できないのです。

そのような営業パーソンはこの意識を変えることから始めましょう。

「お客様は神様です」

そんな言葉が昔、流行りました。

しかし、私は逆に「取引先を神様だと奉ってはいけないよ」と言っています。

取引先をぞんざいに扱っていいということではありません。むしろ相手を尊重するからこそ奉らない、必要以上に持ち上げるのではなく、協力者として扱うのです。

営業パーソンが頭を下げて泣き落として来ても、「まぁ仕方ないか」と買ってくれるのは、大量生産型の比較的「安価な商品」の場合に限られます。

これがニーズが絞られた「付加価値の高い商品」、課題解決型の「単価の高い商品」になったら話は全く違います。

営業パーソンが顧客を奉ろうが、持ち上げようが、情に訴えようが、それによって「じゃあ買おうか」という話には、まずなりません。

顧客はまず、その商品やサービスが、本当に自社のためになるか、メリットがあるのか?をシビアに見極めようとします。どう役立つのかが明確になってはじめて、購入しようかという話になる訳です。そうすると営業パーソンは顧客のヒアリングをキッチリした上で課題解決を明確にしなければいけません。

課題解決型の営業にとって、一番ふさわしい顧客との関係は「協業者同士」ということになります。「協業者」とは読んで字のごとく、共同で事業を営む相手。あくまでも対等に、同じ目線で、同じ目標に向かって進んでいくパートナーです。つまりお互いが理解できている関係です。

法人であれば、その法人が抱えているマーケットがあります。顧客にも顧客がいますし、競合会社もいれば、従業員も抱えています。

顧客は、自分のマーケットの問題を解決したいわけです。

あるいは、従業員の問題を解決したかったり、競合会社に勝つための戦略を必要としているわけです。

営業パーソンがその顧客と同じ目線に立てばいいんです。極論を言えば、共に戦っていく同僚ですよ。このように考えてみると、顧客との会話も俄然違った視点で捉えられるようになり、顧客を理解するためのヒアリングやお互いに意見を交わす話し方が営業だと思えてくるはずです。

「ぶっちゃけ」こそ、営業パーソンの秘けつ

営業パーソンが顧客の懐に飛び込むために

営業パーソンにとって顧客は「協業者」、同じ目標に向かって進んでいくパートナーです。

ですから、顧客が間違ったことを言ったとき、認識不足や間違いを正さなければならない場面もあります。

「確かにそうですね」などと、ヨイショばかりしていては信頼は得られません。

間違っていることは「間違っている」と言い、「こういう方向で進めた方がいいのではありませんか」と伝える方が誠実です。

配慮があって、誠実な人は信頼に値するわけですから、腹をくくって臨む場面が多々出てきます。

結局のところ、営業ではいかに顧客の懐に飛び込み、一緒になって課題解決できるかにかかっています。そのためには、まず自分が懐を開くことそういう話し方が肝要です。

人間関係の基本ですが、営業にも当てはまります。懐を開くということは自分をさらけ出すこと、「ぶっちゃけ」です。こういう話し方ができるようになると、実によく売れるようになります。

私は「ぶっちゃけて言いますと」などと、「ぶっちゃけた話し方」をどんどんします。例えばこんな感じで

「私の会社は今年で設立23年目になるんですが、ぶっちゃけた話、始めたときは鳴かず飛ばすで、どうなるかと思いましたが」

「この商品ですか?正直ぶっちゃけて言いますと、この方法を使ったらどの会社でも営業成績がアップするというものではありません。新規開拓をあまり行わない分野ではメリットがない商品です。ただし、新規開拓が必要な業界には非常に有効な商品だと思います」

人間誰しも隠しておきたいことがあり、公にすると都合が悪いと考え、表に出さないでおく話があります。不都合な事実は話さないわけです。だからこそ営業パーソンが正直に言うことに意味があるのです。

営業の場面もつまるところは人間対人間。営業パーソンが当り障りのない話し方に終始し、本音とは遠く離れた建前ばかり並べても、どこか空々しい信用できないものを感じてしまいます。

むしろ営業パーソンが率直に本音や本当のことを言ってくれた方が、「お、こいつは信用できるな」「口先ではなく真剣に向き合っているな」と感じるものです。

顧客と営業パーソンが真のパートナーシップを結ぶために

初回訪問時やヒアリング時・プレゼン時など、まだお互いが緊張していて、何となく空気が固いなと感じるときがあります。この空気に負けて、当たり障りのない説明やヒアリング・プレゼンを続けても、いい結果はなかなか導けません。

「ぶっちゃけて言いますと、私たちも商売ですから、最終的には商品を買ってもらいたいとは思っているんですがね…」

「ぶっちゃけ、御社も慈善事業をやられているのではないですから、これによって利益を上げなければいけないわけですよね…」

ぶっちゃけトークをした途端に、その場の雰囲気が一気に和んだり、軽くなることも珍しくありません。一度ぶっちゃけてしまうと、そのぶっちゃけた話し方がその後も続けられます。

「先ほど、今、紹介しているサービスは、ぶっちゃけ、こういう人には意味がないと申し上げたじゃないですか。ぶっちゃけて社長はどう思われますか」(笑)

このように、相手にもぶっちゃけたヒアリングを求めることもできます。

自分の意見を率直に伝えるのも、ぶっちゃけた話し方の一つと言えるでしょう。ときには自分にとって都合が悪いこと、相手にとって耳が痛いことも、言わなければならないのです。

懐を開く、腹を割る、本音で相手と対する…。顧客を叱り、断ることもあります。課題解決型の営業の話し方では、実はこの「ぶっちゃけ」がひとつの大きなキーワードになっています。

アポ取りを始め、ヒアリング、プレゼン、クロージングといった一連の営業の流れの中で、いかに上手にぶっちゃけ、距離を縮めながら、お互いの信頼関係を築けるかが勝負だといってもいいのです。

是永英治

代表取締役

創業以来22年間、約600社の営業代行プロジェクトの指揮を執り様々な山を越えてきた営業代行のパイオニア。