会話がはずむ営業パーソンの話し方

ファーストコンタクトの話し方

営業パーソンの会話がはずむのは相手が自分に興味をもってくれたときだということもありますが、相手のことを知らなければ話のきっかけもつかめません。こちらの話し方にも工夫が必要になのです。ですから、顧客に最初に会う前に最低限、状況ぐらいは下調べしておきます。

顧客の状況が分かっていれば、会社、あるいは個人の顧客が抱えている課題を自分なりに想定できるので、話の接点はいくつも見つかり話し方も変わってくるはずです。

営業中にどうも会話が続かない、ギクシャクしてしまう大きな原因は、むしろ「きちんと相手を想定」していないことにあります。

たとえば、こんな話し方になっていませんか?

【営業】私どもでは、このような人材育成プログラムを揃えております。先ほどご説明したように御社の業績アップに必ずやお役に立てる商品だと思うのですが。

【顧客】うーん、どうかなぁ・・・

【営業】では今、御社で問題になっているのは、どんなことですか?

【顧客】問題になっていることって言われてもねぇ・・・

【営業】たとえば、今年採用した社員の方の教育研修みたいなものは・・・

【顧客】今年度、うちは採用者ゼロなんですよね・・・

【営業】あ、そうでしたか、失礼しました。で、では来年は・・・

【顧客】来年はまだ決まってないんですよねぇ。

このように会話がすんなり流れないのは、顧客の情報が足りない、勉強していないことで淡白な話し方になっている場合が多いのです。では、次の例はどうでしょうか。

【営業】御社のHPを拝見したところ、今年は新卒採用をされていませんね。

【顧客】まぁ、そうですけど。

【営業】募集そのものをされなかったようなのですが、これは何か理由でもあるのでしょうか。といいますのも、御社の業績自体は不景気にもかかわらずアップされているものですから・・・

【顧客】そうなんですよ。実は採用しても、2、3年で転職するケースが多くて、思いきってしばらく現状の人員でいこうかと。

【営業】やはり、そうですか。確かにこの業界は人材の流動が激しいですからね。実は他の会社でも、同じような問題を抱えていらっしゃいます。

【顧客】やっぱりそうなんですか。うちだけではないんですね。

【営業】そうなんです。そうなると既存社員の方のパフォーマンスを上げなければいけないということになりますよね?

【顧客】そうなんですよ。まさにそれが一番の課題なんです。

【営業】そういうことであれば、今回ご紹介する教育プログラムは既既存社員の方の能力アップにも、お役に立てるかもしれませんね。

【顧客】ほう、そういうプログラムがあるんですか。

前の会話との違いは、事前に相手の会社を調べて、状況をしっかりと把握していること。

そのうえで、相手が今どんな問題を抱えているか、それを解決するために何をしようとしているかを想定しておくことで突っ込んだ話し方に変わっています。

これを私は「当てる話し方」と言っているのですが、

「御社にはこんな課題がありませんか」

「もしかして、こんなことが課題になっていませんか」

と投げかける。これは、相手に対する一つの思いやり、配慮がある話し方になります。

営業パーソンが自分なりに考え、調べたうえでのヒアリングであれば、たとえ、間違っていても相手に通じるものです。「それは違うよ。でもそこまで考えてくれるから言うけどね」というふうに会話が成り立っていくのです。

このとき、「こういう課題に対してはよくわかっている人なんだね。○○さんは」という返事をもらえれば一番いいわけです。このように一つひとつあてる話し方を積み重ねていきます。

顧客が感謝する話し方

こんなYESが信頼感につながる

顧客との会話を通して、「そうなんだよ」「よくわかるね。その通りなんだよ」こんな肯定の返事をもらっていくこと。ここが売り込み営業との大きな違いです。

周囲の会話が上手な人を思い出してみてください。

彼、彼女たちは、自分の話を一方的にするのではなく、相手の話をヒアリングしたうえで、

「なるほど。それって、つまり×××ということですよね。」

「話を聞いていて思ったんですけど、鈴木さんって、実は×××なんじゃないんですか?」

「えー?そうなんですか。じゃあ、もっと大変になるんじゃないですか」

などと相手の状況を理解し、共感したうえで、その場に応じて的確に返す話し方になっています。

それに対して相手が、「そうそう」「その通りなんだよ」「よく分かってくれるね」と、さらに会話が盛り上がっていく。これを繰り返していくことで相手は、「話がわかるな」「やっぱりこういう話は、この人にしかできないな」「もう一度、話してみたいな」と思うでしょう。

これは営業の話し方でも同じです。商品・サービスを買ってもらうという最終的なYESを取る前に、やり取りの中で相手の小さなYES、細かな同意を取っていく話し方。さらに、それを積み重ねてくことがポイント。これが信頼感につながり、最終的な成約に結び付いていくのです。

営業ヒアリングから強いYESを引き出そう

ヒアリング中に小さなYESを取る、それを積み重ねる―――ただし、このとき、できるだけ「強いYES」をもらえるようにと私は言っています。

実はYESにも、「弱いYES」から「ふつうのYES」、そして「強いYES」と段階がある。

こちらから、あらかじめ想定している状況、課題を尋ねたときに、「そうだね」という軽い感じの同意から、「そうそう、そうなんだよ」と少し強めの同意。「いや、実はその通りなんだよ」「よくわかってるね、君の言う通りなんだよ」という強い同意まで、その強さにグラデーションがあるのです。

アポ取りの段階でそれができれば、「それだけ考えてくれている人なら、一度来てみないか」という話になるし、訪問後も「もう一度会って具体的に話を詰めたいな」ということになる。

相手のYESを取って、「よく考えてくれているね」という言葉をもらうこと。課題解決型営業ではこのようなヒアリングがとくに必要だと考えています。

営業ビギナーは一生懸命考えた話し方をしよう

顧客を想定した話し方

営業パーソンができるだけ強いYESを目指すヒアリングの目的は、相手の信頼感を得ることにあります。「まさにその通り」という返事をもらえればいいですが、たとえハズレてもかまいません。

大切なのは「御社のことを真剣に考えています」「親身になって考えています」という姿勢を伝えること。誠意がわかってもらえれば営業としては成功です。

課題をぶつけたときに、「違う」と言われたら、ふつうの話し方と同じように、

「そうですか。では、他の課題は何かありますか」

「どうやってその課題をクリアしたんですか」

と続けていけばいいのです。こうした流れの中で、新しい課題や問題点が浮かび上がることもあるのです。

相手の返事を受け止めて臨機応変に対応していく。話し方ができていれば必ずしもYESをもらえなくとも、こちらの誠意は伝わるはず。

「さっきの話は、うちには当てはまらないけど、でもよく考えてくれているよね」

顧客はそう感じます。

繰り返しますが、つねに正解を出す必要はありません。ヒアリングをする中で「ハズレ」もあれば「中くらいのYES」もある。

その中で「ズバリ正解」もある、このくらいが自然です。強いYESをもらうことを目指しながらも、自然なヒアリングの流れを心掛ける。

たとえ投げかけた課題が否定されても、慌てたり悩んだりする必要はありません。ときには、「課題がないというのは、素晴らしいことですね」

このように共感すればいいのです。顧客の気持ちを営業パーソンが受けながら会話を続けていって、最終的に顧客の信頼を得られればいいのです。

是永英治

代表取締役

創業以来22年間、約600社の営業代行プロジェクトの指揮を執り様々な山を越えてきた営業代行のパイオニア。