顧客が納得するTELアポの方法

TELアポに欠かせない「4つの下調べ」

TELアポを成功させる秘訣は、なんといってもコール前の準備にあります。具体的には次の4点の「顧客の下調べ」にかかっています。

①    業界もしくは部門の状況、課題

②    業界もしくは部門の将来あるべき方向性

③    「その方向性と現状のギャップ」=「課題」と「解決策」、そして商材研究

④    個別の会社研究

とりわけ重要なのは「業界もしくは部門の下調べ」。

個別の会社を調べる前に、業界全体を見ておくことで、各会社が抱えている課題が、業界のどのような課題と結びついているかがわかります。

この下調べをすることで、コール時に的確な提案ができるようになります。これはすべての営業活動の土台になり、各トークの材料になるのです。たとえば、

「御社の業界は、×××な状況ですよね、ということは、将来のあるべき方向性は×××ですよね。そうすると、そのギャップである×××が課題となりますよね。」

このように、顧客の状況、方向性をTELトークに生かすことができ顧客とのコミュニケーションがとりやすくなります。

ここまでが①~③の顧客の下調べです。初めての業界を一から調べるのであれば、だいたい2時間ぐらいはかかりますが、業界ごとにコールをしていくのであれば最初だけで済むわけです。

その後、④の「個別の会社研究」に移ります。その会社固有の現状、方向性をチェックしていきます。一度、大局的に顧客となる業界の状況、課題をつかんでいるので、当たりをつけて調べられるはずです。

むしろ、個別の会社調べは5分以下で済むはずです。それ以上、調べても時間のムダです。長くやればいいわけでもなく調べすぎて悩んでも意味はないですから。

ある程度顧客の下調べをして、ピンとこないものは仕方がありません。イメージできる現状と方向性、課題からTELトークをつくるステップに移りましょう。

下調べは、立派な「先回り」。調べた結果、分析に基づいてTELトークを考えれば、

「よく勉強しているな」

「よくそこまで考えてくれたね」

「たぶん、うちに合わせて事例を言ってくれたと思うんだけど、ちょっと違うんだよ。実は……」

顧客から、こんな返事をもらえるようになります。たとえ、正解でなくても、顧客について真剣に調べている姿勢が伝わりコミュニケーションがとりやすくなります。

重要なのは自分なりに調べ、考えた証を見せること、そのプロセスが信頼につながり、やがて強いYESを導き顧客との信頼関係につながるのです。

TELアポは商材によって調べる対象を変える

顧客の業界、部門について調べることが、営業活動の前提になるとお話ししました。

つねに部門について調べるわけではありません。これは商材によりけりです。

たとえば、会計ソフトのように、あまり業界に左右されない商材ですと、セールスする対象となる部門、つまり経理部門について調べればいいわけです。

このように商材によって、重点的に顧客を調べる対象を変えていき最終的には、個別の会社にアポ取りするときのTELトークに生かしていきます。

顧客の業界、もしくは部門の状況は20通り、課題を7通りほどピックアップするのが理想だと思います。

業界の沿革→状況→方向性→課題の順で見ていく

まずは業界の移り変わり、つまり「①沿革」を見ていきます。

次に業界自体の「②SWОT分析」を行います。「強み」「弱み」、の他、外部環境から見たときの「機会」「脅威」を見ていく。この4点が「状況」に当たります。これをそのままTELトークにすればいいのです。

そして、「③将来のあるべき方向性」について考えます。この方向性と現状とのギャップが「④課題」です。一通り調べたら、必要事項をメモして、個別の会社を調べるときの材料にしていきます。

ここでは10年程前の「IT業界」の内容を例にとって説明します。仮に、アプローチする顧客はITの技術開発部門とし、「IT技術」に焦点を当てて考えていきましょう。かなり単純化してお話しするので、アウトラインをつかんで下さい。

まずは「沿革」から。1995年頃から、コンピューターのダウンサイジングが始まって、パソコンのネットワーク環境が整ってきました。

こういう業界の「強み」はIТ技術です。昔は「人、物、金」と言いましたが、これに情報が加わるようになった。企業の重要な経営資源を支えているという強みがある。

一方、「弱み」は専門性が高いが故の閉鎖性です。わかりにくく、一般の人には受け入れられにくい。例えば、そんな弱みがあると想定してみる。

「機会」は、今後もしかしたら家電製品と融合され、逆に家電がIТ分野に参入してくることで「脅威」になります。

ここまで大まかですが、強み、弱み、機会、脅威をピックアップしました。ここから、IТ業界の「あるべき方向性」を考えてみます。

IТを家電化していくと一般の人に受け入れられやすくなります。操作性が簡単じゃないと家電になりませんから。つまり、家電の技術を取り入れることで一般化していける。ここから、次のように想定を広げてみます。

「そもそも、IТ業界が目指す領域は、専門性を高めることではなくてもっと一般化していってシェアを広げることではないか。パソコンを一人一台持つことを目指していくには誰でも使えるようにしていくという『課題』があるではないか。もっと、ユーザーが使いやすいものにしていく、そういう技術に乗っかっていく必要があるのではないかどうですか。10年後の今まさにそういうことになっています」

このようにして、「沿革」「SWОT分析」を行い、あるべき方向性と課題を想定していきます。部門の下調べもこれに準じて行います。

必要事項はメモに書き留め、個別の会社を調べるときの材料にしましょう。

くり返しますが、正解を見つけることが目的ではありません。一通り徹底して考えてみる。これが大事です。

アポ取りしていくなかで「思ったよりも×××な機会はないんだな」「×××な弱みについて、顧客は意識してないな」「×××な脅威は意外に意識してるな」などとわかってきます。こうして、ひとつの業界について知識を蓄えていくことができます。

TELアポは一方通行で行なうとコール先の反応は冷たいものになります。

営業パーソンが顧客のことを把握することでキチンと顧客と向き合おうとすれば自ずと顧客の反応も良いものとなるのです。

そういう意味ではTELコール前の事前準備は営業するにあたって最も重要なことだといえるかもしれません。

是永英治

代表取締役

創業以来22年間、約600社の営業代行プロジェクトの指揮を執り様々な山を越えてきた営業代行のパイオニア。